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2010年度未踏IT

手描きスケッチの輪郭線から簡単に立体的な彩色を行うソフトウェアの開発

プロジェクト概要

塗り絵というと子供の遊びの代表例だが、まじめに取り組むと意外に大変なものである。

まず塗る対象領域と基本色を決定し、次にその領域の立体構造と光の当たり方を考えながら適切な色彩で陰影表現をしていくという手順が必要とされる。

本提案ではこの、輪郭線の形状から対象物の立体構造を推測する作業をアルゴリズムで自動化することにより、複雑な階調表現をもった彩色画像をユーザが簡単に作成できるようなアプリケーションを開発する。

基本的なアルゴリズムとしては、まずユーザが描いた輪郭線の形状から法線ベクトルを計算して領域内部に補完し、各点における接平面の傾きをベクトル場として求める。 必要ならば補完の際に拡散方向を指定したり、素材が布である事を考慮した制約を与える等の最適化を行ってユーザが意図した形状を実現できるようにする。 そして得られた立体情報にスフィアマップと呼ばれるテクスチャを適用する事で望んだスタイルの彩色済み画像を出力する。

提案手法の利用シーンとしては2パターンあり、一つはビギナー向けのお絵かき支援ソフトとして初心者でも簡単にそれらしい色が塗れるという、ハードルの低さを売りにしたものである。 もう一つのパターンは、アニメ製作者のような大量の画像を処理しないといけないプロを対象として少ない手間でこれまでにない手の込んだ彩色表現ができるという、クオリティの向上に主眼を置いたものである。 また二次元の線画に擬似的な立体感を与えることの応用として、近年普及を始めた3Dテレビ向けに既存のアニメコンテンツを立体視対応へとコンバートする使い道も考えられる。

このように本提案では、コンピュータがユーザの思考を肩代わりして支援する事で新しい表現の可能性に繋がるような実用的ソフトウェアの開発を目指している。

採択理由

輪郭線から凹凸を推定して、配色などに応用しようという提案。提案には一定の技術的な根拠があるので、作ればそういうものができるだろう。中嶋君は、ある難しいことを自動化するだけで初心者の助けになると思っているようだが。本当に初心者の助けになるシステムにするには、論文化とは違ういろんな視点を考慮してシステムに反映させなければならない。

それとコンピュータの本当の力は、人間の仕事の効率化などという小さなことではなく、できなかったことがやれるようになることだから、そういう応用を目指して開発を進めて欲しい。

面接での受け答えの様子から、提案書に書かれていることはもちろん、提案を超えたところに踏み込んだシステムを作ってくれそうな印象を得た。

PM

原田 康徳

日本電信電話株式会社 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 主任研究員

クリエータ

中嶋 誠

東京大学大学院

採択金額

1,792,000

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