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2022年度未踏IT

複数のARMマシンを一つに集約するハードウェア仮想化レイヤ

プロジェクト概要

ビッグデータ時代の到来により、生物学におけるゲノム解析などをはじめとする様々な分野で大規模なデータを扱う機会が増加している。これらの影響で、計算機科学の専門家以外でもクラスタリング環境を使用する機会が増えている。

英Armは新しいアーキテクチャであるArmv9と、Intel Xeonに対抗する省電力・高性能なプロセッサArm Neoverseを発表しており、これからサーバにおけるARMアーキテクチャの割合が増えてくると見られているため、ARMマシンで構成されたクラスタリング環境の需要が増えると予想される。

既存のクラスタリング手法においては、ミドルウェアを用いて複数の物理マシンに跨っているCPU、メモリを活用していた。この手法では、ミドルウェアのインタフェースに従ったプログラミングを習得する必要があり、計算機科学の専門家ではない人々にとってハードルが高い。

本プロジェクトでは複数の物理ARMマシンに跨って動作するハイパーバイザを実装する。実装されるハイパーバイザ上で動作するVMは、ゲストOSからは集約された一つの物理マシンとして認識され、その上で動作するアプリケーションはクラスタリング環境であることを意識することなくリソースにアクセスできるようにする。つまり、クラスタリング環境上で既存のOS・アプリケーションがそのまま動作するようにする。具体的には、クラスタのノードとしてRaspberry Pi 4、ゲストOSとしてLinuxを想定した上で、以下の実現を目標とする。

本プロジェクトの成果により、計算機科学の専門家以外でも容易にクラスタリングによる処理性能の向上ができるだけでなく、あらゆる分野の研究・開発の高効率化に寄与することができると考える。

採択理由

本プロジェクトでは、昨今の性能向上と普及が著しいARMマシンを複数組み合わせて、手軽に1つのコンピュータクラスタとしてユーザが利用できるプラットフォームを構築する。

スケールアウトできるコンピュータクラスタは人類のひとつの夢とも言え、過去から何度もチャレンジがなされてきたが、ARMという比較的最近に普及してきたデバイスを、モダンな手法でクラスタにするというのは目新しい。

ただ、既存のアプリケーションに手を入れずにクラスタ上で稼働させる事は非常に困難であり、アーキテクチャへの理解度やプログラミング能力といった技術力だけでなく、どのCPUとメモリ空間にユーザプログラムを配置するかや、筐体を超えたメモリアクセスの保障、動的なスケールアウト・スケールインの手法など、アイデアとアルゴリズムの設計力も重要になってくる。

このように、完成させられれば影響力が大きいが、困難性は高い、という未踏のプロジェクトである。その上で提案者らの実績から、難しいが達成は可能という判断をもって採択することとした。

PM

田中 邦裕

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長

クリエータ

飯田 圭祐

慶應義塾大学 環境情報学部環境情報学科

柚山 大哉

慶應義塾大学 環境情報学部環境情報学科

採択金額

2,736,000

成果報告会

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