認知症向け仮想ヘルパーの開発と自立支援プラットフォームの創出
プロジェクト概要
認知症大国の日本では予備軍を含む認知症人口は約1,100万人にも及ぶと推計される。認知症人口が増える一方で介護従事者の人口は減少しており、従来の施設介護による十分な受け入れが難しくなってきた。突如始まった在宅介護では、経験不足に起因するトラブルにより当事者と家族の双方が不利益を被ることも少なくない。いま、在宅環境での新たな認知症ケアが求められている。この課題を解決するために、我々は「認知症向け仮想ヘルパーと自立支援プラットフォーム」を開発する。ここでの仮想ヘルパーとは、LLMエージェントと遠隔にいる人間が分業して支援を行うものであり、この手法により来たるAIエージェント時代を見据えた価値提供を実現する。軽度から中等度の認知症の中でも、特に徘徊や当惑に代表される行動・心理症状(BPSD)を有するケースに焦点を当てて、開発および実証実験を実施する。特にBPSDは、本人の不安を理解したうえで適切なコミュニケーションを取ることにより緩和されうることが知られており、LLMによる支援が効果を発揮する可能性が高い。開発は以下の2つの軸に沿って実施される予定である。1つ目は遠隔支援システムおよび家族との連絡機能を含む自立支援プラットフォームの開発である。そして2つ目は対話エージェントの認知症向け最適化とデザインである。技術的課題として、高齢者音声の認識精度の向上、認知負荷を考慮した発話調整、当事者の真意を汲み取るための積極的な傾聴の実現に取り組む。また法的・倫理的なリスクの解消に努めることで、事業基盤を固める。これらの取り組みを通じて、温かみのある認知症ケアの世界を実現することを目指す。
採択理由
認知症患者向けのAIの開発は社会的に非常に重要であり、今後実現が大いに期待されている。しかし、音声認識や高齢者の意図や状態の認識等、簡単に解決できない問題は幾つもある。一方、提案者達の熱意は非常に高く、この問題に真摯に取り組んでいこうという前向きな姿勢が十分に感じられる。そうした提案者達の熱意と社会的重要性から採択を決めた。
PM
石黒 浩
いしぐろ ひろし
クリエータ
宮下 拓磨
北海道大学大学院情報科学科情報理工専攻
後藤 汰誓
九州大学大学院芸術工学府芸術工学専攻音響設計コース
本田 純也
豊橋技術科学大学大学院工学研究科情報知能工学専攻
山本 賢人
名古屋工業大学工学部情報工学科
採択金額
16,000,000円